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新美南吉ゆかりの学校同士の交流
5年 総合的な学習の時間「安城市の南吉さん案内人になろう」の実践
安城市立桜町小学校

   本校は,半田市岩滑(やなべ)出身の童話作家・新美南吉が教師として勤務した安城高等女学校(現:愛知県立安城高等学校)の跡地に建てられた学校である。近隣には,南吉にゆかりのあるものも多くあり,本校では全学年において,南吉の作品を取り上げた国語学習や,南吉に関わる総合的な学習の時間を進めている。
 5年生の総合的な学習の時間「安城市の南吉さん案内人になろう」では,まず,1年生から4年生までの間に学習してきたことを振り返った。そして,安城市には南吉ゆかりのものがたくさんあることを再確認した。安城市は南吉が青春時代を過ごした「第二のふるさと」という思いが,子どもたちの中にある。安城市のこと,安城市の南吉のことをもっと広めたいという子どもたちの思いから,昨年度に引き続いて,TV会議システムを活用して南吉の母校・岩滑小学校と交流する時間を設定した。
 昨年度の交流で,安城市から離れた半田市の地でも自分たちと同じように南吉のことを慕い,学んでいる子どもたちがいるということを知って,互いによい刺激になっていた。TV会議交流をしたり,半田市岩滑へ訪問して直接交流をしたりする中で,互いの南吉に関わる学習の成果を発表し合い,南吉の作品に対する意見交流をして学習を深めることができた。
 今年度は,岩滑小学校の子どもたちに,安城市のこと,安城市の南吉のことをもっと知ってもらうために,TV会議交流を設定した。そして,安城市にある「南吉ゆかりの地」をTV会議交流で紹介した後に,岩滑小学校の子どもたちを安城市に招待し,直接交流をして安城市を案内することを計画した。昨年度に引き続いての継続交流ということもあり,より充実した学習になることを期待して,本単元を計画した。

1 交流の計画

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時 期

内  容

5月

交流校との打ち合わせ

6月

事前の接続テスト
第1回TV会議交流(安城市紹介,半田市紹介)

9月

事前の接続テスト

10月

第2回TV会議交流(南吉ゆかりの地紹介,質疑応答)
安城市にて直接交流(南吉ゆかりの地案内「安城南吉ウォークラリー」)

2 交流の対象

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本校5年生児童93名(3クラス)
半田市立岩滑小学校5年生児童71名(2クラス)

3 交流の実際

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(1)第1回TV会議交流(安城市紹介,半田市紹介)(6月下旬)

 安城市,半田市のことを互いに紹介し合った。昨年度に引き続いてのTV会議交流だったので,子どもたちもリラックスして取り組むことができた。言葉や画像で説明するだけでなく,地図や具体物,動作なども活用して分かりやすく紹介することができた。質問コーナーでは,半田市にも安城市と同じようにゆるキャラがいることが分かったり,盛大なお祭りがあることなどが分かった。TV会議をすることに慣れてきているので,気楽に質問し合う姿が多く見られた。
 交流後の本校の子どもたちは,「4年生の時に岩滑で会った子と,またTV会議ができてうれしかったです。半田市のことをいろいろと教えてもらえてよかったです」「前は南吉さんのふるさとの岩滑のことをたくさん教えてもらったので,今度は安城市の南吉さんのことを教えてあげたいです。またTV会議がしたいです」と,感想を書いていた。昨年度に引き続いてTV会議交流をしたことで,交流学習への意欲が高まっていることが分かる。

 

写真1 安城市の紹介
 

写真2 半田市のことを質問

(2)第2回TV会議交流(南吉ゆかりの地紹介,質疑応答(10月中旬)

 昨年のTV会議交流や直接交流で,矢勝川や権現山,南吉の生家など南吉のふるさと岩滑の様子を詳しく知ることができた。今年は,南吉が青春時代を過ごした「第二のふるさと安城市」のことを,岩滑小学校の子どもたちへ詳しく伝えようと考えた。今回のTV会議で安城市の南吉ゆかりの地を紹介した後,岩滑小の子どもたちを安城市に招待して直接案内をする計画を立てた。「南吉ゆかりの地紹介」では,楽しみながら知ってもらうためにクイズ形式にして発表した。ででむし詩碑や南吉ウォールペイント,南吉オブジェ,商店街で販売している南吉グッズ,南吉クッキー,南吉グルメなどを,実物や写真を見せながら紹介した。クイズ形式にしたことで,より参加型の交流になり,岩滑小学校の子どもたちのリアルタイムの反応がしっかりと感じられた。特に,南吉クッキーや南吉マンガの実物を見せた時には,岩滑小学校の子どもたちの興味津々な反応が見られて,本校の子どもたちも満足そうであった。また,岩滑小学校の子どもたちからの質問に,分かりやすく答える姿も多く見られた。

〜質疑応答の様子〜
Q.南吉オブジェの名前はどうやって決まったのですか。
A.安城市が企画した「南吉観光スポットの名称募集」に集まったものの中から選ばれました。私たち桜町小5年生もみんなで応募しましたが,残念ながら選ばれませんでした。

Q.「南吉の願いごと」の他にも,何かかくれているウォールペイントはありますか。
A.安城市駅西駐車場の壁に描かれている大きなウォールペイントには,かくれ南吉さんが4人います。安城市に来た時に,ぜひさがしてみてください。

 交流後の本校の子どもたちは,「岩滑の子が『発表が分かりやすかった』と言ってくれたのでうれしかったです。質問にも答えられたので,よかったです」「安城市の南吉さんのことをくわしく伝えることができてよかったです。岩滑小の子が来た時に,安城市を案内するのが楽しみです」と,感想を書いていた。次回の直接交流に向けて,子どもたちの意欲が高まってきたと言える。

 

写真3 南吉ゆかりの地紹介
 

写真4 クイズ形式で発表

(3)安城市にて直接交流(南吉ゆかりの地案内「安城南吉ウォークラリー」)
  
(10月下旬)

 安城駅前商店街のイベント「安城サンクスフェスティバル」のブースをお借りして,安城市ゆかりの地案内「安城南吉ウォークラリー」を出店した。そこに岩滑小学校の子どもたちを招待し,ウォークラリー形式で楽しんでもらいながら案内して回った。来てくれた岩滑小学校の子どもから,「TV会議で顔を見たのをおぼえてるよ」と言われ,驚きながらもうれしそうに案内する本校の子どもたちの姿が見られた。何度もTV会議交流を行っていることもあり,和やかな雰囲気で案内をすることができた。ウォークラリーでは,チェックポイントごとに,安城市の南吉の様子をクイズや劇,群読などで詳しく伝えることができた。また,岩滑小学校の子どもたちだけでなく,市民の皆さんにも呼びかけて,「安城南吉ウォークラリー」に参加してもらった。多くの人たちに発表をする様子から,安城市の南吉のことをもっと知ってもらいたい,みんなに広めたいという気持ちが強く感じられた。
 交流後の本校の子どもたちは,「半田市にはない南吉さんゆかりのものを紹介できてよかったです。岩滑の子が真剣に話を聞いてくれてうれしかったです。安城市での南吉さんの様子をしっかりと伝えられました」「岩滑の子のほかにも,たくさんの人に安城市の南吉さんのことを伝えることができてよかったです。南吉さんのことや安城市のことをもっと好きになってもらえたらうれしいです」と,感想を書いていた。TV会議交流と直接交流を効果的に取り入れたことで,南吉を大切に思う気持ちが深まったようであった。

 

写真5 岩滑小の子を案内
 

写真6 市民の皆さんにも南吉の説明

4 交流後の感想

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交流を終えた後の子どもたちの感想

・今年も岩滑小の子と交流ができてよかったです。岩滑小の子にたくさん教えてあげたかったので,安城市の南吉さんのことをいっぱい調べました。しっかりと伝えられたと思います。
・私は「安城南吉ウォークラリー」が心に残っています。岩滑小の子がわざわざ安城市に来てくれて,ウォークラリーをしてくれたのがうれしかったです。ちゃんと伝えようと思って,はりきってやりました。
・TV会議で質問された時はどきどきしたけど,前にも答えたことがあったので,落ち着いて話すことができました。くわしく教えてあげられたのでよかったです。
・岩滑の子も私たちも,南吉さんのことを大切に思っているんだなあと感じました。たくさんの人に南吉さんのことを知ってもらえれば,南吉さんはその人の心の中でずっと生き続けられると思います。
5 成果と課題

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 <研究の成果>
 研究3年目となる今年度は,昨年度に引き続いて岩滑小学校の同じ学年同士の交流ということもあり,最初からスムーズにTV会議を行うことができた。昨年度は,「ふるさと岩滑の南吉さん」をたくさん感じることができた。その刺激を受けて今年度は,「安城市の南吉さん」「私たちの大切にしている南吉さん」という意識を高め,TV会議や直接交流に意欲的に取り組むことができた。
 また,どのようにするとTV会議でより分かりやすく伝えることができるのかも考えて実践することができた。具体物や動作を多く取り入れたこと,クイズ形式による双方向の参加型にできたことなどが,よりよいTV会議交流になった理由である。その結果,岩滑小学校の子どもたちに「安城市に行って,実際にゆかりの地を見てみたい」という気持ちが生まれ,充実した直接交流につながった。
 TV会議交流と直接交流を効果的に取り組んだことで,今まで以上に「もっと知りたい」「もっと伝えたい」という気持ちが強くなり,南吉学習の意欲の向上につながった。2年にわたるこれらの交流を行ったことで,例年の5年生に比べて南吉学習の深まりが見られたことが大きな成果である。
 また,ここでは紹介していないが,今年度の4年生同士でも昨年度同様にTV会議システムを活用した交流と直接交流を行っている。学校間同士の交流の輪が広がってきていることも成果の一つと言える。

<今後の課題>
 3年間にわたる研究で,一定の成果が得られたと思う。来年度以降も継続してTV会議交流を行い,よりよい交流を目指したい。また,更に他の学年でもTV会議システムを活用した交流を図り,学校間の南吉学習の広がりをもたせていきたい。


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