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新学習指導要領「B衣食住の生活」の「食生活」では,日本の食文化への理解を深めるために,地域の食材を用いた調理実習として和食を取り上げることが示されている。そこで,和食を通して健康な体や安全な食品選択について学び,和食の文化を継承しようとする思いを育んでいきたいと考えた。今回は3観点で評価した実践を紹介する。
生徒は日本の食料自給率(カロリーベース)が38%であることを知り,「食品ロス削減」「健康な体づくり」「地産地消」に取り組むことで食料自給率(カロリーベース)を上げられることを調べた。また,給食は中学生の健康を考えて作られているため,残すことはもったいないことや,愛知県民の野菜摂取量が全国最下位であること,野菜摂取不足と生活習慣病が関係していることを栄養教諭から学んだ。さらに戦後,食の欧米化により日本人の平均寿命は世界一位になったが,現在は脂質を多く摂取しすぎているために,一位でないことを知った。
健康な体づくりに和食を取り入れたいという生徒の思いから,地元産の鮎で甘露煮を作り,郷土料理に使われる豆味噌で味噌煮込みうどんを作った。生徒は地元の食材や食文化のよさを実感し,地産地消が環境や健康面で安心できることに気が付いた。
しかし,豆味噌の原料に「大豆(遺伝子組換えでない)」という表示を見つけたことで,自分たちが遺伝子組換え作物をあたりまえに食べている実態があることが分かった。安全かもしれないが安全ではないかもしれない遺伝子組換え作物の安全性に疑問を感じた生徒が,食の在り方について追究していく姿を表していく。 |