保育分野  児童文化財の製作実習(ペープサート)

1 研究の目的
 保育分野において,子どもの発達について,実践的・体験的に学習させる方法として,「遊び」を通して子どもと触れ合うことができる児童文化財の製作実習がある。ここでは,比較的短時間で製作ができる「ペープサート」の実習を取り上げた。ペープサートとは紙に書いた絵に串をつけて動かす絵人形劇である。演じる人と見る人のお互いの表情がよく見えるので,子どもとコミュニケーションを図ることができる。
  グループでの製作活動を通して,言語表現を工夫させることで,積極的に子どもと関わることができる能力と態度を育成することを目的とした。

2 研究の方法
 (1) 製作の計画(Wordファイル)
 グループごとに題材を決め,製作の計画を立てる。  
 (2) 製作実習
 準備:ケント紙,のり,はさみ,割り箸,カラーペン,クレヨン,絵の具など
 (3) 表現活動
 子ども向けの表現方法を探る。
 (4) 発表・評価(Excelファイル)
 グループごとに発表させ,お互いに評価し合う。

3 研究の内容
 (1) 製作計画における指導上の留意点
 対象児の年齢を考慮し,発達段階に適した題材例を考えさせる。
 ・0〜1歳:「いないいないばあ」「挨拶遊び」など。
 ・1〜2歳:「じゃんけんゲーム」「数字遊び」など。
 ・2〜5歳:「童謡」「年中行事」など。

 (2) 製作実習における指導上の留意点
 ・表の絵を回転することで転画する作品例を提示する。
 ・ストーリーを組み立てる際,演じ方を工夫させる。

 (3) 表現活動における指導上の留意点
 ストーリーの展開や童謡に合わせ,ペープサートをリズミカルに動かしたり,転画するタイミングを考えさせて,効果的な表現方法を検討し合う。

 

ペープサート作品例

桃の絵を回転させると
男の子が飛び出す仕掛け
生徒のペープサート作品例「浦島太郎」(対象児3〜5歳)
ストーリーの場面
@助けた亀につれられて龍宮城へ来てみれば… A帰る途中の楽しみは,みやげにもらった玉手箱。 B中からぱっと白けむり。たちまち太郎はおじいさん。
演じ方のポイント
楽しい雰囲気を伝えるように歌う 何が入っているかな?と質問する 素早くクルッと回転させる

 (4) 発表・評価
 グループごとに発表させ,お互いの作品を評価し合う。
 実習全体を振り返り,自己評価をさせる。



生徒の感想
・紙に絵を描いただけなのに,話しながら動かすことで人形に感情があるように見えることが楽しいと思った。
・折り紙で動物のペープサートを作って動かすと子どもが喜びそうだと思った。



 ペープサートの実習風景

4 まとめ 
 グループでの創作活動や製作を通して,生徒の個性を生かした授業を展開することができる。さらに,クラス内で発表の場を設定することにより,「遊び」と発達の関わりについても感じとることができる。製作したペープサートは幼稚園や保育所などの訪問をして,実際に子どもと触れ合い,一緒に遊んだりすることにより一層効果的な学習ができる。

5 参考文献
 ○文部科学省 『高等学校学習指導要領解説 家庭編』 開隆堂出版 2010年5月
 ○村上幸雄 『ペープサートAからZ』 童心社 1978年2月
 ○山本駿次朗 『子どもとつくるペープサート』 小学館 1986年4月

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