※評価の観点シート | |||||
1 はじめに つる性の植物で直射日光を遮るグリーンカーテンは,室温の上昇を抑え,真夏のエアコン使用を軽減する効果が期待されている。各自治体や企業が取り組む環境保全活動として定着しており,農業高校は中部国際空港セントレアと一緒に「グリーンカーテン共同育成活動」に取り組んでいる。この活動は平成24年度から始まり,これまで学校で生産したパッションフルーツの苗を活用したグリーンカーテンの設置に成功してきた。現在は遮光率の向上と,花や果実の成長させる事を課題とし,設置方法の改善に取り組んでいる。 |
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2 目的 空港施設における省エネルギーの推進や利用者に対しての癒し空間を演出する。 |
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3 実習手順 (1)現場環境の調査 花芽が付かない原因に温度があることに着目をした。セントレアは環境に配慮された空港であるため,人混みや動線に関わるところには空調が効いているが,グリーンカーテン付近には空調が効いていない。また,6月の晴天時には40℃以上になる日があることが分かった。 (2)グリーンカーテンの設置 パッションフルーツは30℃以上になると花芽が付きにくくなることを考慮し,これまで5月上旬に設置していたものを3月初旬に行い,30℃以上になる前の5月上旬に花を咲かせることを目指した。 (3)誘引方法の改善と人工授粉の実施 遮光率を向上させるため,苗を垂直方向に誘引せず,横方向に誘引し,折り返しとつる下げを繰り返し行った。 |
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図1 グリーンカーテンの設置 花芽形成を考慮して,設置時期を変更した。設置の際には利用者の動線を妨げないように,また水や泥を床に落とさないように気を付けた。 |
図2 誘引方法の改善 横方向への誘引とつる下げを行い,遮光率向上に努めた。 |
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図3 パッションフルーツの花 時計の文字盤のような花が美しい。一番花に人工授粉を行うとその後の着花率は向上した。 |
図4 果実の成長 過去の実績では30個ほどの成長にとどまっていたが,平成26年度は700輪以上の花が咲き,350個の果実を収穫することができた。 |
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図5 平成24年度の様子 グリーンカーテンは完成したものの,遮光率の向上など多くの課題が見つかった。 |
図6 平成26年度の様子 遮光率を向上させ,花や果実の成長が楽しめるグリーンカーテンを完成させることができた。 |
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図7 出発通路の様子 グリーンカーテンの近くを歩くお客様が多い。 |
図8 サーモ撮影 図7の出発通路を同時刻にサーモ撮影し,グリーンカーテンの冷却効果を確認することができた。 |
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図9 利用者の反応 セントレアの利用者の中には,グリーンカーテンの成長,花や果実の成長を楽しみにされている方が多く,夏の風物詩として定着しつつある。 |
図10 実習の様子 実習の様子を見学している利用者から声をかけられることもあり,生徒の意欲につながっている。 |
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4 まとめ (1)現場環境と植物特性を調査し,グリーンカーテンの設置時期を早めた。花芽形成時に高温になるという課題をクリアすることができた。 (2)誘引方法を改善することで,遮光率を向上させることができた。 (3)生徒は習得した技術を校外で実践することができ,多くの関係者から評価していただき,新たな課題の発見と継続的な活動につなげることができた。 |
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