研究者が共通の生物材料を用いることで,その知識を蓄積することができる。分類体系を代表する生物を研究することで,多くの生物で共通した知見が得られる。共通の始原生物から進化したと考えられる生物の多くには共通した形態や性質があり,その多くは共通した(相同な)遺伝子を持つ。様々なモデル生物から得られた知識が,異なる生物研究に役立つ。特に,高等動物の研究には倫理的な問題や,飼育方法やコストの問題があり,安価なモデル生物を用いた基礎研究が行われている。ゼブラフィッシュはサル,マウス,アフリカツメガエルに次ぐ脊椎動物の研究材料になっている。
特にゼブラフィッシュは簡単に卵が得られ,胚発生が速く,しかも胚が透明なため,発生における分化や器官形成の研究材料に向いている。飼育コストはマウスの数千分の一で済むと言われ,多くの大学・研究機関で研究されている。
国家的プロジェクトとして,National BioResource Project(NBRP)が動いており,各地にモデル生物の系統維持のための拠点が設けられている。新たな生物種を追加して体系的な収集・保存・提供を行う体制を確立するとともに,情報センターとしての機能を強化し,基盤技術開発やゲノム解析等によるバイオリソースの付加価値向上を目指している。「2010年時点で世界高水準の目標を達成する」という国家戦略があり,愛知県ではメダカ(基礎生物学研究所),ニホンザル(生理学研究所)のNBRPがある。