酢は独特の酸味があり,肉・魚・野菜などどんな素材にもよく合う調味料である。 また,防腐や疲労回復にもなるとされている。半田市では,この食酢づくりが盛んである。 江戸時代,知多半島では酒づくりが盛んに行われており,尾張国知多郡半田村(現半田市) の初代
中埜又左衛門も酒造業を営んでいた。酒をつくると酒粕が出るが,1804年(文化1), 又左衛門はその酒粕から醸造酢をつくることに世界で初めて成功した。この酢は,値段も安く 甘味が多かったため,江戸での「江戸前寿司」に使われるようになり,知多の廻船によって 全国に広まっていったのである。現在では,全国の家庭用食酢の70%以上を生産している。
博物館「酢の里」では,江戸時代や現代の酢作りの様子について学習することができる。また,すぐ横には半田運河があり,運河沿いには黒い板壁の酢工場が並び風情がある。