円空千体仏(えんくうせんたいぶつ)  <時代>江戸時代  <地域>尾張
天王通り地蔵堂 円空の千体仏

<所在地> 津島市天王通り3丁目 (名鉄津島線津島駅下車徒歩10分)
<概要>
 1632年,美濃で生まれた江戸時代前期の天台宗の僧侶 円空は,各地を行脚遍歴し,布教のかたわら10万体をこえる仏像を作ったといわれる。そのうち約5,000体が発見されているが,鉈彫りによるその作品は,形式にとらわれない素朴な美しさで人々を魅了している。津島市天王通り地蔵堂の千体仏は,円空の最盛期である延宝年間(1673〜1681)のもので,地蔵堂本尊の地蔵菩薩像を中心に5〜7cmの小さな仏像1,008体が光背の形式で配置されている。
 全国に数ある円空作の千体仏のなかでも,完全な形で残っているものはこの地蔵堂のものだけといわれている。
<学習のポイント>
 円空が活躍した17世紀後半,とりわけ延宝年間は諸国で飢饉さらには風水害がおきて農民たちの生活は困窮していた。幕府領では検地が行われ,美濃では延宝の郡上一揆が起きるなど,人々の神仏にすがろうという気持ちが強まっている時期でもあった。そのような時期だからこそ,円空は諸国を行脚し,人々を救済する願いを込めて仏像彫刻に心血を注いでいた,ということを知ることができる。
<見学のポイント>
 津島神社に近い天王通りは,枇杷島で美濃路から分かれた津島街道沿いにあり,津島神社の門前町の人々,周辺の農民の生活に思いをはせて作像したものと思われる。光背形の美しい造形をみることができる。
<参考資料>
 津島市制50周年記念誌「津島物語」
<問い合わせ先・ホームページ>
 津島市役所 0567-24-1111  http://www.city.tsushima.lg.jp/

愛知エースネットへ      トップへ