天恩寺(てんおんじ) <時代>室町時代 <地域>西三河
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天恩寺仏殿 |
天恩寺山門 |
<所在地> 岡崎市片寄町 (名鉄バス滝尻口下車徒歩5分)
<概要>
1335年(建武2)足利尊氏(あしかがたかうじ)は,矢作川の戦いに敗れて乙川の上流に陣取った。尊氏は「明日の戦に勝利を得せしめ給えば,必ず報恩のためこの地に一寺を建立し奉る」と延命地蔵菩薩に勝利を祈ったところ,翌日の戦に大勝し,ついには将軍となり室町幕府を開いた。しかし,尊氏は約束を果たせず,遺言とした。その後1362年(貞治元),三代将軍足利義満が尊氏の遺志を継ぎ,見性悟心(けんせいごしん)禅師に命じて天恩寺を建立した。
建物の作者は不詳であるが,貴重な室町時代の禅風の建築であり,仏殿・山門は国の重要文化財に指定されている。仏殿は地蔵堂とも称され,檜皮(ひわだ)葺きの入母屋(いりもや)造りである。山門は切妻造り・柿葺(こけらぶき)で現存する薬医門(やくいもん)としては最も古い。本寺には,足利義満の筆による扁額(へんがく),雪舟の筆による達磨大師など多くの美術・工芸品が収蔵されている。
境内には徳川家康ゆかりの大杉(家康公見返りの杉)もある。1602年(慶長7),徳川家康より寺領百石の寄進があり,以後江戸幕府により保護を受けた。
<学習のポイント>
天恩寺と室町幕府のつながりを調べ,室町時代の建築様式や当寺が将軍家とつながりの深い臨済宗のお寺であることを学習する。
<見学のポイント>
参道を登って境内に入ると,まず特徴のある石垣が目につく。次に仏殿の入母屋造りの屋根の反りが美しい。寺全体の雰囲気は落ち着いた趣で京都の古寺を思わせる。
<参考資料>
「額田町史」
「ふるさと読本ぬかた」
<問い合わせ先>
岡崎市教育委員会社会教育課文化財班 0564−23−6177
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