はじめに


           
 愛知県総合教育センターでは、高等学校における国語科指導の参考資料として、平成元年度に初めて「授業の手引」(以下「手引」)を作成しました。その後、学習指導要領の改訂等に伴って「授業の手引」も改訂を重ね、今回七代目の「手引」を公開することになりました。
 平成三十年三月に今次の高等学校学習指導要領が公示され、令和四年度から年次進行で実施されます。この学習指導要領において特に重視されているのが、社会で求められる資質・能力の育成です。この力は長年学校教育で提唱されてきた「生きる力」をより具体化し、教育課程全体を通して育成を目指すものとして、「何を理解しているか、何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」という三つの柱で整理されています。国語科においても、授業の創意工夫や教科書等教材の扱い方の改善を引き出していくことができるよう、目標や内容を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱に合わせて再整理しています。そして、どのような資質・能力の育成目指すのかについて、より明確にするために、科目構成が見直され、六つの科目が新設されました。
 こうした資質・能力を身に付け、生涯にわたって能動的に学び続けることができるようにするためには、主体的な言語活動を取り入れた授業改善に取り組むことが必要です。そこで、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を活性化し、「言葉による見方・考え方を働かせ、言語活動を通して、国語で的確に理解し効果的に表現する資質・能力」の育成を目指すことになりました。
 この「手引」は、県立高等学校教育課程課題研究(国語)に所属する委員が、これまでの研究や実践を基に執筆したものですが、右のような点を踏まえ、多様な授業や言語活動の在り方を提案し、学習指導案等の資料とともに示しています。平成十八年版の「手引」の形式を踏襲し、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の三領域ごとに、指導の目標や具体的な手だてを記し、指導と評価の流れが具体的に分かる単元案・学習指導案・ワークシート例などを付しました。初任者研修のテキストとしての機能を第一に考えましたので、基礎的な内容もありますが、国語科の今日的な課題を考える資料として多くの先生方に御活用いただければ幸いです。授業のヒントとして使えるような十五編のコラムも掲載してあります。
 不十分な点も多くあるかと思いますが、今後更に充実を図っていく所存ですので、御高覧の上、御批正を賜れば幸いです。

                         令和四年四月一日 愛知県総合教育センター     

授業の手引

学習指導要領の改訂に伴い、今年度からは1年次で必履修科目「現代の国語」「言語文化」がスタートしています。こちらを参照される方は令和4年度版です。      
 2、3年次で旧課程に対応しているのは平成27年度版です。


 ・令和4年版 学習指導要領(平成30年告示)対応

 


 ・平成27年版 学習指導要領(平成21年告示)対応