中之坊寺(なかのぼうじ)  <時代>室町時代  <地域>知多
中之坊寺 全景

<所在地> 常滑市石瀬(名鉄大野町駅より徒歩30分)

<概要>
 中之坊寺は真言宗智山派に属する。中世に大野城主の祈願所として建立され,一山十二坊を有して栄えた宮山地区の金蓮寺(天正年間に焼失)の一坊が中之坊寺の始まりと言われている。寺号は,その後,見山寺から能見寺,さらに現在の中之坊寺へと改称されている。本尊は十一面観音を拝する。
 中之坊寺にはいくつかの寺宝が伝えられている。その中でも絹本着色仏涅槃図(けんぽんちゃくしょくぶつねはんず)は保存状態もよく,大変に優れた作品で,国の指定文化財になっている。中央に宝床台に横たわった釈迦が描かれ,その周りを十人の弟子や神々,王侯貴族,獅子などがその死を嘆き悲しんでいる。元の時代(1300年頃)に周四郎という画家によって描かれた涅槃図である。
 その他に,常滑市の文化財となっている仏画が五幅伝わっている。いずれの作品も裏銘の記述より金蓮寺から伝えられた作品であることが分かるもので,いずれも室町時代の秀作である。中でも愛染明王を描いた仏画は多少の損傷もあるが金を施した痕跡も残り,構成の補修も少ない。室町前期の本格的な作品である。

<学習のポイント>
 室町文化の学習で,郷土に残る優れた美術文化財の一例としてぜひ紹介したい。
<見学のポイント>
 現在,これらの仏画は常滑市民俗資料館に保管・管理されているが,残念ながら一般には公開されていない。
<参考資料>
 「常滑市誌」 「常滑市の文化財」
<問い合わせ先・ホームページ>
 中之坊寺
 常滑市民俗資料館 0569−34−5290 http://www.city.tokoname.aichi.jp/kbn/75360020/75360020.html

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