Androidタブレットを活用した授業実践について


 科目の中の位置づけ


・プログラミング(3)プログラミングの応用
                        エ ユーザインタフェース
                        オ 文字や画像などの処理

 内容


1 ねらい

(1) プログラミングを学んできた応用として,システム及びアプリの開発を行う。システム開発の流れである基本設計,外部設計,内部設計,プログラミング設計,プログラミング,テスト,運用・保守の手順で作品を制作し,プログラムを作成する知識と技術を習得させ,プログラムの役割や重要性について理解させる。

(2) さまざまなプログラム言語によるソフトウェア開発の進歩に対応し,ビジネスの諸活動においてコンピュータを合理的に活用する能力と態度を習得させる。

(3) プレゼンテーションを行い,発表技術やコミュニケーション能力を向上させる。

2 使用教材

(1) App Inventor
  App InventorとはGoogleが開発し,提供していたAndroid対応アプリケーションソフトウェアを開発するソフトウェアである。 現在はマサチューセッツ工科大学(MIT)が提供している。ビジュアルオブジェクトをドラッグアンドドロップすることで,Android対応アプリを作成できる。
  参照サイト:「App Inventor」(http://appinventor.mit.edu/explore/front.html/)

(2) 授業プリント
    ・App Inventorの導入手順(教師用)
  ・「アプリを作ろう」(生徒用)
(3) 仕様書

3 授業の展開方法

(1) App Inventorソフトウェアの使用方法について説明

(2) 仕様書の作成

(3) 作品作り

(4) プレゼンテーション

(5) 評価者の意見を取り入れたプログラムの修正

授業展開

時間配当(50分×7)

1時間目/7  実習教室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 10分
 ・アプリ開発についての概要を知る。
 ・アプリ開発に必要なアイデア,デザイン,インタフェースの重要性や発想方法について理解させる。
 40分  ・App Inventorソフトウェアの使い方について学習する。  ・授業プリントを活用し,App Inventorの使用方法や仕組みについて説明をする。

2時間目/7  実習教室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 20分
 ・仕様書の作成
   基本計画,外部設計について考える。
 ・最も重要な部分のため,最初にコンセプトやターゲットを絞らせる。
 ・常に完成時をイメージさせる。
 30分  ・作品作り1(外部設計)
   デザインやインタフェースについて考える。
 ・ユーザーの立場から操作性やデザイン,色合い,BGMやシステム音などの使いやすさを考えさせる。
 ・授業時間内に終了しないグループは次時までの課題とする。

3時間目/7  実習教室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 20分
 ・作品作り1(外部設計)
   デザイン,インタフェースについて考える。
 ・ユーザーの立場から操作性やデザイン,色合い,BGMやシステム音などの使いやすさを考えさせる。
  
 30分  ・作品作り2(内部設計,プログラム設計)
   アルゴリズム,イベントについて考える。
 ・これまで学んできた知識を生かしたプログラムを考えさせる。
 ・適宜,テストやデバッグを行うよう指示をする。

4時間目/7  実習教室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 50分  ・作品作り2(内部設計,プログラム設計)
   アルゴリズム,イベントについて考える。
 ・これまで学んできた知識を生かしたプログラムを考えさせる。
 ・適宜,テストやデバッグを行うよう指示をする。

5時間目/7  実習教室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 50分  ・作品作り3(テスト,保守)
   実行テストを行う。バグがあれば修正を行う。
 ・アプリが仕様書に沿った形で動作するかを確認させる。
 ・うまく動作しない生徒へ助言をする。

6時間目/7  実習教室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 50分  ・作品のプレゼンテーション
   仕様書,アプリを提示しながら行う。
     
 ・発表時間は5分〜10分とする(生徒人数に応じて調整)。
 ・プレゼンテーション項目
  ア コンセプトについて
  イ 操作性やデザインなどの工夫した点について
  ウ プログラムにおいて苦労した点について
 上記3点を意識したプレゼンテーションを行わせる。
 ・発表を聞いて評価を行わせる。評価者にアプリの操作をさせ,修正案や改善案を考えさせる。

7時間目/7  実習教室にて

時間配当 学習内容 指導上の留意点
 50分  ・ブラッシュアップ
   評価を参考にし,プログラムの修正を行う。
 ・発表での評価,修正案,改善案を参考にプログラムを再考させる。
 ・より使いやすいデザインや操作性,コンセプトについて客観的に考えさせる。

 授業のポイント

1 基本計画や外部設計が重要になるため,作りたい作品をしっかり認識させてから開発に取り組ませるとよい。

2 App Inventorでは,Android対応のアプリを開発することはできるがiOSには対応していないため,iPhoneやiPadにインストールすることはできない。 授業で使用する場合はAndroidタブレットやスマートフォンを用いるとよい。

3 アプリ開発には画像や音源などを必要とする場合があるため,著作権などに留意しながらフリー素材サイトなどを利用させるとよい。

4 発表後の他者評価が良い作品につながるため,客観的な意見を受け入れることの重要性を理解させたい。また,プログラム再考の時間を配慮するとよい。