本校は,各学年2クラス,全校生徒162名の小規模校である。近年,学区にレジャー施設が建設され,休日にはにぎ
やかな面もみられるようになった。しかし,普段は山と海に囲まれた大変のどかな地区である。学区に1小学校,1
中学校ということで,学区を挙げて生徒の健全育成に取り組む動きがあり,地域の教育力という点では,学校に対し
て大変協力的なよい面をもっている。しかし,生徒は小学校入学から中学校卒業までの9年間を同じメンバーで生活
することになる。そのため,新しい人間関係を構築することが難しいという面をもっている。小学校からの人間関係
が中学校まで持ち込まれるために,固定化された人間関係に縛られ,成長に応じた幅広い交友関係を築けずに悩む生
徒が少なくない。また,友達の新たな成長やよさに目を向けたり,気付いたりすることも少ない面がみられた。近年,
こうしたことが影響するためか,不登校を起こす生徒もみられるようになってきている。
そうした状況の中で,昨年度は「自信のないリーダーたちの存在」「固定化された人間関係」を課題ととらえ,自
分の思いや願いを素直に表現できる生徒の育成を目指して,様々なグループ・アプローチの実践に取り組んだ。結果,
仲間のよさに目を向け,リーダーが自信をもって行動できる温かい学級へと成長した。しかし,「固定化された人間
関係」については,相変わらずグループ間の交流はみられず,課題を残した。
そこで本年度,持ち上がりの学年で学級の半分は同じメンバーという状況で,昨年度の取組を踏襲しつつ,残され
た課題を克服するために,アサーショントレーニングの実践に取り組むことにした。自分も相手も大切にできる自己
表現の仕方について学ぶことで,グループ内のよりよい対人交流が促され,さらにグループ間の交流へと広がりをみ
せると考え,研究実践に取り組んだ。 |