欺く者はなげく(小酒井不木)
この作品は海東郡新蟹江村(現海部郡蟹江町)出身で、日本探偵小説界の先駆者であり、江戸川乱歩を世に送り出した小酒井不木が、少年向けに書き下ろした短編である。当時非常に人気の高かった少年誌「少年倶楽部」の昭和4年(1929)2月号(大日本雄弁会講談社刊)に掲載された。 イソップ童話よろしく、驢馬(ろば)や狐、羊が登場し、「親の意見には従うものだ」という道徳的メッセージを発する物語であるが、血の付いた衣服によって殺人が偽装されるなど、探偵小説界の草分け的存在であった不木らしさが垣間見える作品である。 教材化のヒント
歴史的仮名遣いで表記された近代の文章である。けれども内容が平易なため、古文と違って、歴史的仮名遣いが苦手な生徒であっても、音読したり内容を理解するのにそれほど苦労はしないだろう。よって歴史的仮名遣いに触れさせる導入教材としても使用可能であると思われる。
![]() ・歴史的仮名遣いに注意して、本文を音読する。 ・作品のテーマについて、話し合う。 ・登場する動物の性格について、まとめる。 ・西洋の寓話や日本古来の仏教説話と比較し、その共通点や差異を発表する。 ・作者について調べる。 ![]() ・歴史的仮名遣いで書かれた文章を、正しく音読する力。 ・寓話のテーマを正しく読み取る力。 ・登場人物の性格を読み取る力。 ・一般的な作品群と比較して、共通点や差異を指摘する力。 この教材の魅力
小酒井不木の作品には、探偵小説というジャンルもあって、血みどろの場面描写や女性の犯罪に対するこだわりなどがしばしば見られる。この点については、不木自身が繰り返した喀血(かっけつ)や、母親という存在に対して抱いた複雑な思いと関連付けて論じられており、不木作品の重要なテーマであり魅力でもあるのだが、児童・生徒を対象とする教材とするには、ややその扱いが難しい。そこでここでは、不木が少年用に書いた作品群から、本作品を選んだ。 |
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