古事記 (こじき)
『古事記』は、奈良時代に書かれた現存する日本最古の歴史書である。和銅5年(712)に成立。稗田阿礼(ひえだのあれ)が誦習していた帝紀(皇室の系譜)と旧辞(皇室・諸氏族間に伝わる神話、説話の類)を元明天皇の命により太安万侶(おおのやすまろ)が選録したもの。 序文と上・中・下巻から成る。上巻には天地の創造から初代の天皇神武天皇の誕生までの神話が、中・下巻には神武天皇から推古天皇までの天皇を中心とする人の世の物語が描かれている。天皇を中心にした律令体制を確立するために編まれたと考えられている。 音と訓を交えた変体漢文で書かれているが、表記上の苦労については序文の中で述べられている。 一般的には「こじき」と音読みするが、『古事記伝』を著した本居宣長は「ふることぶみ」と訓読みしている。 愛知県との関わり
名古屋市熱田区にある熱田神宮のご神体、草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)は、『古事記』中巻 景行天皇の条に登場する英雄、日本武尊(やまとたけるのみこと)がこの地にもたらしたものであると語られている。 教材化のヒント
初詣をはじめ、多くの参拝客が訪れる熱田神宮はこの地区に住む生徒にとってなじみのある神社である。その縁起にかかわる物語を、生徒は興味深く読むことができるのではないだろうか。ものや名の由来にはそれぞれの物語がある面白さを味わってもらいたい。また、『古事記』の中でも最も文学性が高いと言われている日本武尊の物語を通読することで『古事記』への興味を喚起したい。
![]() ・日本武尊の物語のあらすじから東国征伐の経路を確認させる。 ・本文と『風土記 逸文』(尾張国 熱田社)を併せて読み、草薙神剣を祀 る熱田神宮とのかかわりを理解させる。 ・物語の中で草薙神剣がどのような役を果たしているかを考え、日本武尊の 心の動きを読み取らせる。 ![]() ・神話に興味をもち、自ら進んで親しむ態度。 ・複数のテキストを比較しながら読む力。 ・物語の諸要素から登場人物の心情を推論する力。 この教材の魅力
神話と歴史の狭間に存在する『古事記』の中で、文学として魅力的なのは、神代
と伝説の時代の叙述であると言われている。その一つに日本武尊の物語がある。多
くの歌謡を織り込んだ英雄物語は古代の叙事詩と言うこともでき、英雄日本武尊の
悲劇の物語は現代を生きる生徒たちの胸にも深く響くことであろう。日本武尊の物
語は小学館『新編 日本古典文学全集』で計20ページほどである。是非全体を通読
してもらいたい。 |
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