日本外史
(にほんがいし)


 日本外史は、江戸時代、頼山陽が著作した日本の歴史書である。文政10年(1827)に山陽と親しかった松平定信(元老中)に進呈、2年後に発行された。全22巻、漢文で書かれている。
 章立ては『史記』世家・列伝に倣って、源氏・新田氏・足利氏・徳川氏の四氏を正記に立て、他の諸氏の歴史を前記若しくは後記として配している。武家の興亡を中心に家系ごとに分割されて紀伝体で書かれている。簡明な叙述であり、情熱的な文章であったために広く愛読され、多くの藩校で教科書として使用されるなど、幕末・明治にかけては大変多くの読者をもった。参考史料として軍記物語なども用いているため、歴史的事実に忠実であるとは言いがたい記事もあるが、正しき者の子孫は栄え、邪(よこしま)なる者は亡びるという一貫した考えが、幕末の尊皇攘夷運動や勤皇思想に大きな影響を与えた。
     
   


愛知県との関わり

『日本外史』全22巻のうち、第13・14巻は織田氏、第15〜17巻は豊臣氏、第18〜22巻は徳川氏について叙述されており、愛知の三英傑に特に詳しい。今回収録する豊臣秀吉は、中村区の豊国神社付近の出生と言われており、神社内には今も「日吉丸となかまたち」の銅像が配置されている。


豊臣秀吉像 名古屋市清正秀吉記念館所蔵

豊臣秀吉像 名古屋市清正秀吉記念館所蔵



教材化のヒント

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と愛知県人ならだれもが知っている三英傑、彼らが生き生きと描かれた文章を、しかも日本漢文で読むのは大変意義深い学習となるであろう。
 漢文の訓読、及びその口調に慣れた上で、秀吉の若き日、日吉丸の気概・ものの考え方を鑑賞させたい。

 具体的な学習活動 
 ・地図を用いて豊国神社・光明寺の位置を確認させる。
  また中村区内の豊臣秀吉、又は日吉丸にまつわる地名を探す。
 ・日吉丸の出生にまつわるエピソードを理解させる。
 ・日吉丸が幼少であるにもかかわらず、たぐいまれな気迫の持ち主であることを    理解させる。


 身に付けさせたい力 
 ・漢文を正確に訓読する力。
 ・漢文独特の用字、言い回しを読む力。
 ・史書を通して人物の考えに触れる力。


豊国神社内 日吉丸の銅像

豊国神社内 日吉丸の銅像



この教材の魅力

 『日本外史』は、『史記』を手本に江戸時代後期の儒者頼山陽によって書かれた、漢文体の通史である。愛知県にかかわりの深い人物に三つの章を充てており、愛知県人としては一度は読んでみたい文章である。
 また『日本外史』は優れた日本漢文であるので、読みごたえがある。頼山陽が手紙で友人に「日本にて必要の大典とは芸州の書物と人に呼ばせ申し度き念願に御座候」と心情を語ったが、その意図のとおり人々にとって「必要の大典」となったのは、その文章が優れていたからである。人物が躍動する軍記物語の面白さと、簡潔で華麗な描写力をもつ漢文という形式によってよく表現されているという点が、『日本外史』の優れている点である。
 また頼山陽は『日本外史』を書く際、まず毎朝『史記』項羽本紀を朗誦して力を得たといい、その影響は少なからず見られる。


豊国神社内 千成びょうたん

豊国神社内 千成びょうたん


「日本外史」のページ

 作者 頼山陽

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