沙石集
(しゃせきしゅう)


 鎌倉時代中期に成立した仏教説話集。全十巻、134の説話から成り、硬質な仏教説話のほかに、笑い話・昔話など卑近な話、滑稽(こっけい)な話題が多く含まれている。序文に「かの金(こがね)を求むる者は沙(いさご)を捨ててこれをとり、玉をみがく類(たぐひ)は石をわりてこれを拾ふ、よつて沙石集と名づく」とあるように、金や玉が隠れている「沙(すな)」や「石」のような書物、という意味を込めて「沙石集」と名付けられた。
     
   


教材化のヒント

無住の書いた「沙石集」には数多くの説話が収められているが、愛知県にゆかりのあるものは、残念ながらほとんどみられない。しかし、「沙石集」の説話には、仏教説話という枠には収まりきらない世間的な話題や笑い話が含まれ、そこには無住の怪異や世俗に対する旺盛な好奇心や、世俗の人間に対する温かい眼差しを感じることができる。
 今回取り上げた文章も、「尊勝陀羅尼」の効験が主題となってはいるが、一方で読者は、蛇が「美しげなる若き殿」という不思議な霊力をもったものとして描かれていることに興味を引かれるであろう。それは恐らく無住自身も感じていたことであり、こうした怪異に対する素直な驚きや好奇心は現在の我々にも十分共感できる。これが説話文学の楽しみ方の一つであり、「古典に親しむ」その契機となることが期待できるであろう。



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 編者 無住

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