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魅力ある授業のために(単元化例)

・単元名 「雨蛙」

・単元の目標
 (1)用語や表現方法と内容の関連に気付かせる。
 (2)二編の詩の違いを具体例を挙げて話し合わせる。

・単元の評価規準
 (1)ユーモアの中に悲しみの心情が込められていることを理解できる。
 (2)野口米次郎の二編の詩を読み、作風の違いを説明することができる。

・配当時間 1時間
☆はその時間の主な評価規準

時限 指導目標 学習内容

・口語自由詩について理解させる。
・歴史的仮名遣いを正確に読ませる。

・詩を読んで、情景の展開を想像させる。

・「雨蛙」と「存在の孤独」とを比較・鑑賞させる。

・詩を音読する。




・目に見えているもの、見えていないものを分けて書き出す。

・二編の詩の各々が、「象牙の塔」「人生の街頭」どちらに当てはまるかを判断し、根拠をあげて説明する。
・二編の詩が、表現としてどう違うかを、根拠をもって話し合う。

☆亡児を題材とし、卑近でユーモアを交えた表現を用いながら、悲哀を表現していることを理解している。
☆二編の詩の比較を基に表現効果について考え、説明している。


コンテンツ活用例(動画1「雨蛙」)
コンテンツ活用例(動画2「存在の孤独」)
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野口米次郎生家(津島市)

存在の孤独

『新らしい詩は私をもつて始まらねばならない、』
かう私がいつたら人は私を許すでせうか……
許さなくてどうしませうか。
毎朝咲く朝顔を御覧なさい、どの朝顔でも、
朝顔の美は自分をもつて始まるといふ誇りに輝いてゐるではありませんか、
太陽の下どんな物でも、神の与へた魂を赤裸(せきら)にさらけ出して、
(赤裸の場合位ものの完全な場合は無いであらう)
自分と大きな自然との対照を慎ましやかに表現した時、
本当に新しい一章に筆が附け始まります。
詩の上ばかりでなく、人生の上でも、
『新しい人間は私をもつて始まらねばならない、』
私はかういひたいのですよ。
私自身としましても、昨日の私は今日の私でありません。
毎朝太陽に私の眼が覚め、私の耳が鳥の声を迎へる時、
昨日と違つた人生の秘密が私にほぐれて来るやうに感じます、
(あなたが秘密の文字がお嫌なら、人生の意味と云ひませう、)
私はまるで異つた人間となつて新しい生命を始めます、
さうあつて初めて独立的な存在の意味が確立するだらうと思ひます。
『新しい詩は私をもつて始まらねばならない、』
私がかういつたとて、他人の努力を無視するのではありません、
他人は他人で、『新しい詩は自分をもつて始まる』といつて下すつて、
初めて私の言葉に真実の意味が出て来るだらうと信じます。

(筑摩書房『現代日本文學大系 41』による)

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作者 野口米次郎

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