あかだ・くつわ     <はじまり>平安時代  <地域>尾張
あかだ(左) くつわ(右) くつわの形の原型となった「茅の輪
くぐり」の神事の様子(津島神社)
江戸末期のあかだの販売の様子
(尾張名所図会)

<関係地>津島市袮宜町(名鉄津島線津島駅より徒歩15分)
<概要>
 津島神社で行われる津島天王祭(重要無形文化財)は,南北朝時代の神事に由来があると言われていると同時に,悪疫退散の夏祭りとしても知られている。この津島神社ゆかりの縁起菓子が「あかだ」と「くつわ」である。(1979年,津島市の祖先の遺産を守り育てる条例に基づき,歴史的価値を有するものに指定)
 「あかだ」は,うるち米の粉を熱湯でよくこねて,直径1cmの団子状にして,菜種油で揚げたものである。神仏習合だった平安時代,弘法大師が悪疫退散を祈願した際,お供えしたお米のお下がりで作ったのが始まりとされていて,仏教の「阿伽陀(不老不死の薬の意)」という意味があり,厄除けとして,参拝者に授けたと言われている。油で揚げる菓子は,遣唐使によって伝えられた「唐菓子」の系統を引くものと言われている。
 「くつわ」は,1840年(天保5)にできた菓子で,津島神社の「茅の輪くぐり」の神事に使われる茅の輪を型どったものと言われている。神馬のくつわに似ていることから,「くつわ」と言われるようになった。うるち米ともち米の粉をこねて蒸し,砂糖を加え,馬のくつわ型にして油で揚げる。
 江戸時代は,神社の参道沿いに,「あかだ」を売る店がたくさん並び,参拝客で賑わっていた。1694年(元禄7)の「津島業書張州雑誌抄」という文献にも津島の代表的な産物として掲載されている。現在は,3軒が販売しているが,江戸時代からの変わらぬ方法で手作りをしている店は1軒である。今なお,夏の天王祭と正月は,「あかだ」と「くつわ」を求める参拝客で賑わっている。
 近年,食の研究に伴い,和菓子のルーツの一つとも言われるようになってきており,更なる研究が進んでいる。
<学習のポイント>
 あかだ・くつわを切り口に,郷土の歴史を調べよう。

<見学のポイント>
 江戸時代からの面影を残す,津島神社と参道,佐屋路を歩いてみよう。
<参考資料>
 「縁起菓子祝い菓子」

<問い合わせ先>
 
あかだ屋清七 0567-26-2754

 愛知エースネットへ      トップへ