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授業実践事例

パソコンの自作を通して理解するコンピュータの仕組み

~ハードウェア分野~

1 はじめに

 生徒はこれまでに、コンピュータを構成する五大装置(制御装置、演算装置、記憶装置、入力装置、出力装置)の概要や役割、データの流れについて授業で学んでいる。この単元では、これまで知識として学んだことを、コンピュータの自作という実習を通して体験的に理解を深める。

2 単元の目標

 コンピュータを構成するハードウェアの仕組みやその種類、及び役割と機能について理解し,コンピュータを組み立てることができる。

3 指導内容

(1)ハードウェアの仕組み及びコンピュータ自作の流れの理解
(2)CPU、メインメモリ、マザーボードの理解と取り付け
(3)HDDの理解と取り付けと性能の評価
(4)光学ドライブ、周辺機器の理解と取り付け
(5)単元の総まとめと、次単元「ソフトウェア分野」の概要説明

▽使用教材(授業プリント)

授業プリント①(11print.docx)「1時限目 CPUとメインメモリについて理解」
授業プリント②(12print.docx)「2時限目 マザーボードの理解とCPUの取り付け」
授業プリント③(13print.docx)「3時限目 HDDの理解と取り付け」
授業プリント④(14print.docx)「4時限目 光学ドライブ及び周辺機器の理解と取り付け」

4 授業の流れ 

▽1時限目 CPUとメインメモリについての理解

学習内容・学習活動 指導上の留意点
導入
(5分)
<導入>事前アンケートの実施
・コンピュータ自作に関してのアンケートに回答する。
 
展開
(40分)
<講義>ハードウェアの概要とコンピュータ自作の流れの理解
・コンピュータを構成するハードウェアの名称と役割について理解する。
・コンピュータ自作の手順について理解する。
授業プリント①(11print.docx)

・一人一人の作業スペースを確保させる。
<講義>CPUの理解
・CPUの機能、規格、クロック周波数について理解する。
 
<実習>取り付けるCPUの調査
・取り付けるCPUの製造会社や製品名、クロック周波数について調べる。

・CPUの裏側(ピンの部分)に触れないよう注意させる。
<講義>メインメモリの理解
・メインメモリの機能や規格、容量について理解する。

・メインメモリのマザーボードへの接続部分に触れないよう注意させる。
<実習>取り付けるメインメモリの調査
・取り付けるメインメモリの記憶容量やRAMの種類、モジュールの形状について調べる。
 
まとめ
(5分)
<まとめ>本時のまとめ
・本時で学習した内容について振り返り、理解を深める。
 

▽2時限目 マザーボードの理解とCPU等の取り付け

学習内容・学習活動 指導上の留意点
導入
(5分)
<導入>前回の授業の振り返り
・前回の授業での学習内容を振り返るとともに、本時の流れを把握する。
授業プリント②(12print.docx)
展開
(40分)
<講義>マザーボードの理解
・マザーボードの機能、規格、各種スロットについて理解する。
<実習>取り付けるマザーボードの調査
・取り付けるマザーボードのCPUソケットやメモリスロット、PCIスロットなどの項目について調べる。

・マザーボードに触れる際に、コンデンサ等の部品には触れることのないよう注意させる。
<実習>CPUとCPUクーラー、メインメモリの取り付け
・CPUとCPUクーラーの取り付け手順を理解し、CPUをマザーボードに取り付ける。
・CPUにシリコングリスを塗布し、マザーボードへCPUクーラーを取り付ける。
・メインメモリをマザーボードに取り付ける。

・取り付けの時に向きを間違えないように注意させる。
・ピンを折ることがないよう注意させる。
まとめ
(5分)
<まとめ>本時のまとめ
・本時で学習した内容について振り返り、理解を深める。
 

▽3時限目 HDDの理解と取り付け

学習内容・学習活動 指導上の留意点
導入
(5分)
<導入>前回の授業の振り返り
・前回の授業での学習内容を振り返るとともに、本時の流れを把握する。
授業プリント③(13print.docx)
 
展開
(40分)
<講義>HDDの理解
・HDDの機能や規格、容量について理解する。
・SSDとHDDとの違いについて理解する。
 
<実習>取り付けるHDDの調査
・取り付けるHDDのメーカーや回転数、記憶容量など性能について調べる。
 
<講義・演習>平均アクセス時間の計算
・HDDのデータ転送について理解する。


・HDDの平均アクセス時間の計算方法を理解する。
・プリントの演習問題を解く。

・実物のプラッタや磁気ヘッドを使い、視覚的にデータの読み取りにかかる時間をイメージさせる。
<実習>HDDの取り付け
・HDDの取り付け手順を理解し、マザーボードにHDDを取り付ける。

・HDDが水平に置かれているか確認させる。
まとめ
(5分)
<まとめ>本時のまとめ
・本時で学習した内容について振り返り、理解を深める。
 

▽4時限目 光学ドライブ及び周辺機器の理解と取り付け

学習内容・学習活動 指導上の留意点
導入
(5分)
<導入>前回の授業の振り返り
・前時の学習内容を振り返るとともに、本時の流れを把握する。
授業プリント④(14print.docx)
 
展開
(30分)
<講義>光学ドライブの理解
・光学ドライブの機能や規格について理解する。
 
<実習>取り付ける光学ドライブの調査
・取り付ける光学ドライブのメーカーやドライブの種類、接続規格について調べる。
 
<実習>光学ドライブの取り付け
・光学ドライブの取り付け手順を理解する。
・マザーボードに光学ドライブを取り付ける。


・接続するIDEケーブルと電源ケーブルの向きが正しいか確認させる。
<講義>周辺機器の理解
・ディスプレイやマウス、キーボード等の周辺機器について理解する。
 
<実習>周辺機器の接続
・ディスプレイやマウス、キーボード等の周辺機器の接続手順を理解し、それらを取り付ける。

・接続する各種ケーブルの向きが正しいか確認させる。
まとめ
(15分)
<まとめ>単元の総まとめ
・ハードウェアの機能や役割について確認しながら、コンピュータ自作の手順を説明する。
・ハードウェアの規格や接続方法について工夫がされている点について考え、発表する。
 

5 評価規準

評価規準

  関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解
単元の
評価規準
・ハードウェアの機能や仕組みなどについて関心をもっている。 ・ハードウェアの規格や性能、接続方法について考え、それらを適切に判断している。 ・コンピュータを組み立てることができる。 ・コンピュータ内部の仕組みを理解している。
学習活動に
即した
評価規準
①コンピュータを構成するハードウェアについて、その役割や仕組みに関心を持ち、意欲的に組み立てようとしている。 ①ハードウェアの仕組みについて、その規格や性能、接続方法など、工夫されている点について考えることができる。 ①ハードウェア及びケーブル類を適切に接続し、コンピュータを組み立てることができる。 ①ハードディスクの役割や機能を理解している。

指導と評価の計画

時間 学習内容及び活動
(指導上の留意点)
観点別評価内容 評価規準との関連 評価の方法
関心

意欲

態度
思考

判断

表現
技能 知識

理解
発表内容 提出物の内容 授業態度
1時間目 ◎ CPUとメインメモリの理解
・CPUとメインメモリについての理解 ・CPUやメインメモリの機能と役割を理解している。
2時間目 ◎ マザーボードの理解と、CPU及びメインメモリの取り付け
・マザーボードについての理解 ・マザーボードの機能と役割を理解している。
・CPUとメインメモリのマザーボードへの取り付け ・CPUとメインメモリを正しくマザーボードへ取り付けることができる。
・CPUの取り付けに積極的に取り組んでいる。
3時間目 ◎ HDDの取り付けと、平均アクセス時間の計算
・HDDの取り付け ・HDDの取り付けについて、意欲的に実習に取り組んでいる。
・平均アクセス時間の計算 ・平均アクセス時間の求め方を理解し、性能を評価することができる。
4時間目 ◎ 光学ドライブ、その他周辺機器の理解及び取り付け
・光学ドライブについての理解 ・光学ドライブなどの周辺機器の機能や役割を理解している。
・ハードウェアの仕組みと工夫 ・ハードウェアの規格や接続方法について工夫されている点について考えることができる。

6 実践結果の考察

今回のコンピュータ自作実習では、基本的に「授業プリントを使った講義」⇒「実機を使った実習」という流れで行った。まずは講義を受け「頭」で理解し、その後実機に触れ「体」で理解させることを意識した。これまで理論的にしか理解できていなかったことを、目で見てまた体で触れて覚えさせ、より知識として深く定着させることがねらいである。
 また、次の単元「ソフトウェア分野」の授業後に、2つの単元の「事後アンケート」で、授業についての自己評価を行った。アンケートをまとめたものが下のグラフである。


 図 事後アンケート結果(ハードウェア分野)

 実習で使用したハードウェアの理解についてのアンケートであるが、多くの生徒が「当てはまる」もしくは「やや当てはまる」と回答している。今回は実機を使った実習であったため、このような結果になったのではないかと考える。日頃とは違う授業形態を取り入れたことで、生徒の興味・関心をより引き出すことができたのだろう。
 しかしその中で「コンピュータ自作の手順についての理解」の項目が、「当てはまる」もしくは「やや当てはまる」との回答を合わせても半分に満たなかった。この要因として、三人で一台という実習形式であったことから、それぞれの生徒がすべての実習を行うことができなかったためではないかと考える。生徒によってできなかった実習があるため、全体を通して流れがつかみづらかったのではないだろうか。やはり一人一台の実習環境を整えることが望ましいと考える。

7 おわりに

 これまでに生徒は「社会と情報」や「ネットワークシステム」の授業を通して、コンピュータを構成するハードウェアの仕組みや働きについて学んできた。しかしそれはあくまで講義での理論的な理解であって、実際にCPUやメインメモリに触れる機会はなかった。今回このようなコンピュータの自作を通して、コンピュータの仕組みや働きについて理解を深めることができ、何より生徒の興味や関心を大きく引き出すことができた。ただやはり一人一台の実習環境を整える必要があると強く感じた。「百聞は一見に如かず」の言葉通り、生徒が「もの」を見て触れる場面を作ることの大切さを改めて実感することができた。