乗本万灯 (のりもとまんどう)  (県無形民俗文化財) <始まり>時代不詳 <地域>東三河
乗本万灯 万灯の製作

<所在地>新城市乗本(万灯山) (JR飯田線本長篠駅下車)  
<概要>
 毎年8月15日の夜,乗本の万灯山とよばれている小山で,火をつけた万灯を頭上で振り回す祭事である。振る人は地域の小学生以上の男性である。万灯とは,乾燥させた麦わらを円錐形に束ね,先端に縄の手をつけたもので,直径10pくらいの麦わら束を,振る人の力に合わせて束ねて編み,大人だと40束ほど,直径1mを超える大きなものもある。起源は精霊送り,悪霊払いの盆行事といわれるが,一帯は長篠合戦の戦場でもあり戦死者の供養とも,虫送り(農作物に被害をもたらす虫を村から送り出す))ともいわれる。「まんど まんど ようい よい」という掛け声は勇ましく,炎が長く尾をひいて夜空に輪を描いて舞う様子は壮観である。地域の保存会が大切に守り受け継いできたこの祭りは,県の無形民俗文化財に指定されている。
 新城市内では同じ日に,鍋づる万灯(新城市市川)も行われる。京都大文字の送り火のように,山肌に点火された松明を並べたもので,その形が鍋のつるに似ているためその名がついた。
<学習のポイント>
 万灯に使用する麦わらを確保するために麦つくりから行うなど,祭りを受け継ぐための地域における工夫や努力について理解を深めたい。 奥三河には,この他にも大海の放下火おんどりなどの盆行事,花祭りなどの様々な祭事が受け継がれている。興味関心をひろげ,それらについても調べてみよう。  
<見学のポイント>
 8月15日の夕刻に身を清めた男性が大日堂(大日如来が安置される村の祠(ほこら))に集まる。山の神の森にある秋葉神社の神火をいただいた松明が大日堂に戻り,それぞれの松明に火を移して準備が整うと,万灯山へと出発する。松明を先頭に双盤(そうばん)・鉦(かね)・太鼓・笛,その後ろに万灯を担いだ人たちが続くが,道行き(広場まで)と山行き(広場から先)は笛の音色が変わる。
万灯の振り子はおよそ30人で,次々と入れ替わる炎の輪舞は壮観である。

<参考資料>
 「愛知県の歴史散歩」「奥三河の祭事記」「写真集『祭り・春夏秋冬』〜東三河伝統の神々」
 「あいちの祭り行事〜あいちの祭り行事調査事業報告書〜」「愛知県ふるさとの伝統」 
<問い合わせ>
 
新城市教育委員会・文化課 0536-23-7655   

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