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教材化のヒント

 楊貴妃と玄宗の悲恋の物語は,日本人や日本の文学に大きな影響を与えた。その影響の一端が,熱田神宮に楊貴妃の石塔が建てられたという伝承へとつながっていると思われる。私たちの身近な存在である熱田神宮が遠く離れた中国の楊貴妃と関わりがあることは驚きである。その驚きを端緒にして,楊貴妃の人物像を探ることで,日本人は楊貴妃をどのように受け入れてきたのか考えてほしい。
 現在でも,高等学校の教科書に白居易の『長恨歌』が採られている。しかし,大変長く,意訳を要する箇所も多いため,なかなか授業で扱いにくい。そこで,『長恨歌』の内容をもとに創られた『唐物語』(*)を教材としてみる。『唐物語』は日本で創られており,そこに描かれた楊貴妃像を理解することで,日本人が楊貴妃をどのように受け入れてきたのかを捉えることができる。また,楊貴妃に関する記述は『源氏物語』にもある。『源氏物語』の記述も併せて学習すれば,多面的に楊貴妃像を捉えることができよう。


*唐物語
 唐代の故事を基に12世紀後期に成立したと言われる翻訳物語集。作者未詳。短編の27話から成る。その中の「第十八 玄宗皇帝と楊貴妃の語」は,白居易の『長恨歌』を基に創られている。中国の漢詩を,日本人の作者がどのように捉えたのかを読み取ることができる。
 

身に付けさせたい力


・場面やせりふから人物の心情や人間関係を読み取る力

・複数の作品から得られる情報を精査し,その関連性を考察する力

・文中の表現を根拠にして登場人物のものの見方や考え方,感じ方を理解する力

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教材化のヒント

魅力ある授業のために(単元化例