トップへ

4 分析結果の概要

(1) 中学校における新領域「資料の活用」について
    本年度の高校1年生は,中学校において新しい学習指導要領の基に編成された教育課程で学習してきた。今次の学習指導要領の改訂で,中学校における大きな変更点は,今までの領域構成が「数と式」,「図形」,「数量関係」の3領域であったのが,確率・統計に関する領域「資料の活用」が新設されるとともに,「数量関係」が「関数」と改められ,「数と式」,「図形」,「関数」,「資料の活用」の4領域とされたことである。
   この確率・統計に関する領域「資料の活用」の指導の意義は,「中学校学習指導要領解説数学編」によると,「急速に発展しつつある情報化社会においては,確定的な答えを導くことが困難な事柄についても,目的に応じて資料を収集して処理し,その傾向を読み取って判断することが求められる。この領域では,そのために必要な基本的な方法を理解し,これを用いて資料の傾向をとらえ説明することを通して,統計的な見方や考え方及び確率的な見方や考え方を培うことが主なねらいである。」としている。    
   この確率・統計の領域を重視する方針は,高等学校についても同様で,「統計」に関わる学習はすべての高校生に必要な数学的素養と捉えられ,共通必履修科目である「数学T」に「データの分析」という新しい章が設けられた。指導するに当たり,中学校における既習事項との円滑な接続のために,中学校での指導内容を表にまとめておく ( 表4 )
  今回のテストでは,テストAにおいて,中学校1年生で学習する中央値と,中学校3年生で学習する標本調査に関する問題を出題した。中央値の平均正答率は,28.0%でやや定着がよくないが,標本調査は,基本的な問題であったこともあり,平均正答率72.8%と良好であった。テストBでは,母集団の個数を推測する標本調査の問題を出題したところ,平均正答率は49.7%で,やや課題があることが分かった。中学校で指導されている先生方と情報を密にとりながら今後の指導に当たる必要がある。
表4
(2) 円周角の定理の逆に関する問題について     
  今回の改訂で,高等学校において指導していた幾つかの内容が中学校に移行した。そのうち,円周角の定理の逆が高等学校の数学Aから中学校3年生に移行した。今回のテストでは,テストBでその応用問題を出題した。しかし,問題文に円に関する記述がなかったため,円周角の定理の逆を使うことに気付かなかった生徒が多く,平均正答率は,44.9%であった。          

           目    次
1  調査の趣旨及び処理   5  テストAの結果とその考察
2  調査結果の概要   6  テストBの結果とその考察
3  分析結果の概要   7  テストTの結果とその考察
4  調査問題の妥当性と信頼性     
  平成23年度高等学校数学標準学力検査の結果とその考察 (PDF 625KB)