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8 テストAの結果とその考察

 平成24年度高等学校入学者数学学力テストA の問題・正答率・誤答率・主な誤答
(1)  グラフを活用する大切さを育てたい
  例年はグラフを与えずにxの変域からyの変域を求めさせる問題を出題しているが,24はグラフを与えて,視覚的に捉えてyの変域を求めさせることを試みた。その結果,正答率は35.4%から44.8に上昇した。上位群に関しては,正答率に大きな変化がみられなかったことからグラフがあるなしに関わらずyの変域を正確に捉えることができていると考えられる。一方,下位群に関しては正答率の大幅な上昇とはならなかった。誤答の多くが,グラフを与えられてもyの変域を捉えることができず,端点のyの座標からyの変域を求め,それを解答としている。下位群ではグラフを与えてもxの変域からグラフの増減をイメージできず,単調増加(または単調減少)のごとく単純に当てはめた値を答えとしていることが分かる。また,「yの変域」という言葉の意味が理解できていない可能性が高い
今後の指導に向けて
 導入として,直線の場合を例にして,xの変域(定義域)とyの変域(値域)の対応を確認させる。
  関数 y=x2について,x の変域が−1x2であるとき,yの変域を求めなさい。
xの値から,対応するyの値へ矢印を使い,図1のように図示する。この図示により,yのとり得る値の範囲を理解させる。
  関数 y=x について,xの変域が−1x2 であるとき,yの変域はayb である。abの値を求めなさい。
  同様に,図2にあるようにx=1に対してはy=1 x=1/2に対してはy=1/4,というように矢印で示していき,具体的な値でyの変域を確認させる。また,コンピュータを用いて図示し,yの値の変化を確認させることも有効な手段であり,グラフをかくことの大切さを理解させることができる。

(2) 文章を数式化する力を育てたい
 23では,ボールペンの本数と鉛筆の本数の合計が与えられていて立式しやすく,全体として68%の正答率であった。しかし,24ではボールペンと鉛筆の本数の差という形で出題した結果,全体の正答率が24%下がる結果となった。以下が主な誤答例とその割合(カッコ内)である。
      
  誤答を詳しく見ていくと,80x50y670という式は立てることができたが,もう一つの式であるx3yが立てられなかったことが分かる。H23のように合計本数が条件となっている場合は,文章を正確に読み取り数式化することができていることから,「〜より少ない(〜より多い)」という文章を数式化するのが苦手である生徒が多いということになる
今後の指導に向けて
  誤答の式には「−3」が含まれているものもあった。これは,「〜より少ない」という文章から「−(マイナス)」をイメージしたと考えられる。そこで,下位群の指導には,問題文の「ボールペンを買った本数が鉛筆を買った本数より3本少なかった」という部分について,「が」を「=」に,「3本少なかった」を「−3」に置き換えをして立式させることによって正答率が上がるのではないかと考えられる。状況に応じて,絵を描くことも取り入れ,文章を数式化する練習を繰り返し行い,立式できるようにさせたい 


           目    次
1  調査の趣旨及び処理   5  テストAの結果とその考察
2  調査結果の概要   6  テストBの結果とその考察
3  分析結果の概要   7  テストTの結果とその考察
4  調査問題の妥当性と信頼性     
 平成23年度高等学校数学標準学力検査の結果とその考察(PDF 625KB)