(1) グラフを活用する大切さを育てたい |
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例年はグラフを与えずにxの変域からyの変域を求めさせる問題を出題しているが,H24はグラフを与えて,視覚的に捉えてyの変域を求めさせることを試みた。その結果,正答率は35.4%から44.8%に上昇した。上位群に関しては,正答率に大きな変化がみられなかったことからグラフがあるなしに関わらずyの変域を正確に捉えることができていると考えられる。一方,下位群に関しては正答率の大幅な上昇とはならなかった。誤答の多くが,グラフを与えられてもyの変域を捉えることができず,端点のyの座標からyの変域を求め,それを解答としている。下位群ではグラフを与えてもxの変域からグラフの増減をイメージできず,単調増加(または単調減少)のごとく単純に当てはめた値を答えとしていることが分かる。また,「yの変域」という言葉の意味が理解できていない可能性が高い。 |
【今後の指導に向けて】 |
導入として,直線の場合を例にして,xの変域(定義域)とyの変域(値域)の対応を確認させる。 |
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関数 y=x+2について,x の変域が−1≦x≦2であるとき,yの変域を求めなさい。 |
xの値から,対応するyの値へ矢印を使い,図1のように図示する。この図示により,yのとり得る値の範囲を理解させる。 |
関数 y=x2
について,xの変域が−1≦x≦2 であるとき,yの変域はa≦y≦b である。a,bの値を求めなさい。 |
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同様に,図2にあるようにx=−1に対してはy=1 ,x=−1/2に対してはy=1/4,というように矢印で示していき,具体的な値でyの変域を確認させる。また,コンピュータを用いて図示し,yの値の変化を確認させることも有効な手段であり,グラフをかくことの大切さを理解させることができる。 |