【研究3-2】 生徒自らが理解度を把握するための一方法 ― 電気分解の実験を通して ―
                                    〔発表資料(PDFファイル)
1 ねらい
 生徒が実験の目的を理解し,自らの理解度を把握して実験に臨むことは,重要なことである。そこで,実験前に理解度チェックシート(以下チェックシート)の記入を実施した。これにより,実験において何を目標としているかを生徒自身が具体的に把握することになり,同時に,自分が理解できていない事柄を知ることができる。実践は,気体の発生や色の変化などが起こり,生徒の興味や関心を引き出しやすい電気分解の実験で行った。

2 実践例
 実験前後の正答数を比較することにより,どの内容が生徒に理解されにくいかを知ることができる。顕著に正答数が多くなった項目は,実際に目で見て観察したことを答える内容であり,実験後に正答数が多くなったのは単なる練習効果以上のものがあったと考えられる。正答数は変わらないが正答に近い解答が増えた項目は,実験結果から科学的思考に基づいて理解する事柄であった。
 また, 実験プリントのアンケートからは,実験前にチェックシートを実施したグループの方が実施しなかったグループよりも,積極的に取り組み,そして,実験によって理解が深まったという結果を得た。

3 まとめ
 実践を行う前は,「チェックシートの記入により,生徒自身が自分の理解度を知り実験への取組が積極的になる。」と考えていた。しかし実際に実践してみると,生徒よりも教師へのフィードバックの意味が大きいということが分かった。チェックシートをあらかじめ作成することにより,教師自身が実験の目標をしっかり認識するようになることと,実験前後の正答数を比較することにより,生徒に理解されにくかった内容を知り,今後の授業改善に役立てることができる点である。
 今後このチェックシートを実施するに当たっては,実施時間を短くするため内容を精選するなど,いくつかの改良点を加えて実施していきたい。





新学習指導要領のねらいとする理科教育の在り方に関する研究
目次
はじめに
研究1
研究2
研究3-1
研究3-2
研究3-3
研究4
掲載資料一覧