【研究3-1】 実験の基本操作を定着させる指導法 ― 硫黄の同素体の実験を通して ―
                               〔発表資料(PDFファイル)
1 ねらい
 化学では年間を通して生徒実験を行う機会は多い。できるだけ早い時期に実験室の使用方法や基本操作についてしっかりと理解させ実行できるようにさせることは,実験を速く正確に行うための条件であるとともに,事故防止の点からも重要なことである。  硫黄の同素体の実験は,化学分野の初期の段階に扱われることが多い。よって化学が専門でない理科教員が実施する場合も多い。しかしながらこの実験においては,加熱した硫黄が高温になるなど危険な点も多く,加えて試薬の扱い方,ガスバーナーの使い方,試験管ばさみを用いた加熱操作など,基本的な実験操作がいくつか含まれている。的確な実験指導がより求められる事例である。

2 実践例
 特に単斜硫黄の作製時における加熱の仕方に注意したい。この場合,試験管の底の部分を加熱しただけでは上方の粉末硫黄は融解しないため,試験管全体をまんべんなく弱火で加熱することが重要である。生徒の加熱の仕方をみると炎の大きさは弱火になっているがよく試験管を振っていなかったり,試験管全体を加熱していないため,部分的に加熱され変色しているものが多くみられた。普通試験管の加熱については液体を扱うことが多いため,粉末の融解は難しい。
 また,融かした硫黄を漏斗のろ紙に入れるところでは,一人が漏斗を持ちもう一人が融かした硫黄を注ぐという形で行うと,誤って熱い液体を相手の手にかけてしまう危険性があるため,一人で操作を行った方が安全である。なお,この実験では特に実験中の換気と廃棄物処理にも注意したい。
 化学には危険を伴う実験もあるが,教員側が危険度や事故事例を充分に把握し的確な指導を行うこ とによって,興味深い実験を安全に行い,理科好きな生徒を多く育てるよう心掛けたい。





新学習指導要領のねらいとする理科教育の在り方に関する研究
目次
はじめに
研究1
研究2
研究3-1
研究3-2
研究3-3
研究4
掲載資料一覧