【研究3-3】 探究活動についての効果的指導法 ― 酢酸エチルの合成実験を通して ―
                                      〔発表資料(PDFファイル)
1 ねらい
 有機化合物の学習は化合物の名前や性質を覚えることが中心になりがちである。そこで生徒の興味・関心を高めるために調べ学習を取り入れた。具体的には「日用品の成分表示調べ」を行うことにより,学んでいる物質が身近な日用品に多く含まれていることを実感し,より学習意欲が高まる効果を期待したことと,自ら進んで調べることで探究心を養うことをねらいとした。また,この調べ学習を用いて関心・意欲・態度の観点を評価する方法を提示した。さらに実験操作を安全な方法に改良することにより,発展的なエステル合成実験を行うことを容易にして,探究活動につなげる教材とした。

2 実践例
 (1) 日用品の成分調べ
有機化合物の分野において,日用品の成分調べをするプリントを作成した。プリントの内容は7種類の日用品について,書かれている成分表示を写すことと,そこに出てくる物質の構造式・化学式を調べることである。成分表示を写す課題はほぼ全員が完成できたが,構造式を調べる課題は生徒によって内容に差が生じた。評価はそれぞれについてabcをつけた後,aaをA,abとbbとacをB,bcとccをCとした。「C」の評価の者には,不十分な点の指摘とアドバイスをして再提出をさせた。
成分表示を写した日用品の数
人数53
評価

構造式の数15以上14
人数161513
評価

(2) 酢酸エチルの合成実験
酢酸エチルの合成実験を行った。この実験は次のような授業展開につながる。エステルの種類と果実の香りについて再び調べ学習を行ない,酸とアルコールを用いて同じ操作でエステルを合成し,実際その香りがするかどうか確かめる。このような授業展開は1つの探究活動になると考える。

3 まとめ
 日用品の調べ学習は,有機化合物を身近なものであることを実感させる効果があったと考える。調べ学習のできと授業中の様子は関連しており,これを関心・意欲・態度の評価の1つとすることができると思う。酢酸エチルの合成実験は,他のエステルを合成することもできるため汎用性があり,探究活動に活用できると考える。





新学習指導要領のねらいとする理科教育の在り方に関する研究
目次
はじめに
研究1
研究2
研究3-1
研究3-2
研究3-3
研究4
掲載資料一覧