【研究4】  生物における授業実践について,及び
       生物授業における興味・関心の評価について      〔発表資料(PDFファイル)

1 生物部会での授業実践テーマ
(1)
探究する能力と態度を育てる評価(「刺激の受容と反応 受容器(眼)」の実践を通して)
(2)
探究活動におけるグループ学習の進め方(「個体群の成長と環境要因との関係の観察,実験」を通して)
(3)
授業における発問とその評価(「カタラーゼの実験」を通して)
(4)
マルチメディアを活用した授業の実践(「ニワトリの脳の観察」を通して)
(5)
単元の中での観察,実験の取り入れ方(「DNAの抽出実験」を通して)
(6)
野外観察の進め方(計画の立案から評価まで)
ここでは主に(2) 探究活動におけるグループ学習の進め方と(4) マルチメディアを活用した授業の実践について説明する。

2 探究活動におけるグループ学習の進め方
 「総合的な学習の時間」におけるグループ学習による探究活動を実践した。ここでは,グループ学習における班編制の工夫やグループ学習のメリット,デメリットについて考察した。具体的には,ウキクサの「初期密度と個体群と成長との関係」,「培養液の濃度と個体群の成長との関係」について,生徒に仮説を立てさせ,興味・関心の高さを考慮した上でグループ分けをした。事前アンケートを実施後,グループの役割分担を決め,約1か月間かけて観察した。期間中に中間報告会を実施し,最終的には班毎にレポートを提出させた。

3 マルチメディアを活用した授業実践
 マルチメディアを活用し,ニワトリの脳の観察実験を実践した。自然の事物・現象に直接ふれることのできる体験的な観察実験をより効果的に実践することを目的とした。脳や解剖の手順についてはプロジェクターを使い,教科書や図説からスキャナーで取り込んだ画像,インターネットから入手した画像,ビデオカメラによる動画,生徒の取り出した脳のデジタル写真などを投影し説明した。生徒の興味・関心を引き出し,理解を助長することができた。生徒も集中して授業に臨むことができた。説明の時間を短縮することによって余裕のある授業展開が可能となった。

4 生物授業における興味・関心
 観点別評価のうち,生徒たちの"興味・関心"を評価することに関連して,授業中の生徒たちの行動を観察した内容と,授業後に行った生徒たちの授業内容に対する興味・関心や授業に対する積極的な姿勢を尋ねたアンケートを実施した。なお,授業の観察は2度行い,教師の講義が中心の授業では,A:真剣な態度で授業を聞いている。B:普通に授業を受けている。C:眠ってしまうことがあった。で記録し,プリントの演習問題を生徒たちが解いていくことが中心の授業では,A:周囲と相談したり,教師に聞くなどして何とか解こうと努力する。B:普通に自分で解いている。C:眠ってしまうことがあった,で記録した。結果を比較検討したところ,以下のようなことが分かった。

(1)
最も興味・関心が高いと感じているクラスと,最も興味・関心が低いと感じているクラスの比較から,教師の講義が中心の授業と,プリントの演習問題を生徒たちが解いていくことが中心の授業では,後者の授業での印象が教員に強く影響していたことが示された。また,興味・関心が高いと感じていたクラスは,単元ごとに興味・関心の高さが大きく変動していた。
(2)
2度の観察でAのみ(またはAとB)がついた生徒と,Cが1度でもついた生徒を比較すると興味・関心の高さにも明らかな差が認められた。
(3)
2度の観察でAのみが記録された生徒と,Cのみが記録された生徒については,興味・関心の高さと相関関係があるとして,評価に加えて良いのではないかと思われる。
(4)
遺伝の各分野に対する興味・関心度と,積極的な学習姿勢の間にも,ある程度の相関があると感じられたが,興味・関心が高くても積極的な学習につながらない生徒がいることも分かった。
 以上の結果を踏まえて"興味・関心"を生徒たちの評価,及び教師の授業内容に反映させ,より生徒たちの興味・関心を高め,積極的な学習姿勢を育てることが大切であると思われる。




新学習指導要領のねらいとする理科教育の在り方に関する研究
目次
はじめに
研究1
研究2
研究3-1
研究3-2
研究3-3
研究4
掲載資料一覧