教材化のヒント
無住の書いた「沙石集」には数多くの説話が収められているが、愛知県にゆかりのあるものは、残念ながらほとんどみられない。しかし、「沙石集」の説話には、仏教説話という枠には収まりきらない世間的な話題や笑い話が含まれ、そこには無住の怪異や世俗に対する旺盛な好奇心や、世俗の人間に対する温かい眼差しを感じることができる。
今回取り上げた文章も、「尊勝陀羅尼」の効験が主題となってはいるが、一方で読者は、蛇が「美しげなる若き殿」という不思議な霊力をもったものとして描かれていることに興味を引かれるであろう。それは恐らく無住自身も感じていたことであり、こうした怪異に対する素直な驚きや好奇心は現在の我々にも十分共感できる。これが説話文学の楽しみ方の一つであり、「古典に親しむ」その契機となることが期待できるであろう。
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編者 無住(むじゅう)
愛知県とのかかわり
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