5 調査問題の妥当性と信頼性(S−P表等による分析)
平成25年度高等学校入学者数学学力調査A,Bについて,S−P表処理等を基にして差異係数,信頼性係数,内容別平均正答率,正答率帯別問題数,注意係数,UL指数,問題間の相関等を考察したところ,次のような結果を得た。なお,データは,テストAについては参加31校から244名,テストBについては116校から1,472名を抽出して作成した。
[1] 問題全体について
(1) 差異係数 |
表5 |
差異係数とは,S,P両曲線のずれの程度を数量化したもので,生徒理解と一連の学習内容がうまくかみ合っているかを見るものである。差異係数は0から1の値をとり,0.5より小さい値のとき生徒の理解と指導の密着性が高いとされている。 |
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簡単な確認テストのようなドリル演習型のテストではS曲線とP曲線の乖離は小さく,差異係数は小さくなる。実力テストのような多面にわたる総合的な問題ではS曲線とP曲線は大きく乖離して,差異係数は大きくなる。差異係数が0.5を超えたとき,指導内容に問題がなかったか,出題に問題がなかったか,学習者の理解やモチベーションはよかったかなどを検討する必要がある。今回のテストでは表5のように差異係数は小さいので,出題及び学習者の理解の間にとりわけ大きな問題はないと考えられる。 |
(2) 信頼性係数(クーダー・リチャードソンの公式20による) |
信頼性係数とは,作成されたテスト問題が内容的に妥当で信頼できるものなのかを算出するものである。ここで言う信頼性とは,同一条件下で再度試験を実施しても同じ結果が出ると思われる安定性のことで,0から1の値をとり,1に近いほど信頼性が高いとされている。 |
表6
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今回のテストでは表6のように信頼性係数は高いので,信頼できる良好な問題であったことが分かる。 |
(3) 内容別平均正答率 ( )内の数字は問題数
A,Bともに関数の分野において正答率が下がっている。詳細な分析については32ページ以降を参考にしていただきたい。 |
表7 |
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(4) 正答率帯別問題数 表8 |
(5) 全体の正答率との相関 表9 |
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